【X-HUB TOKYOキックオフ】シリコンバレーとボストンの違いから見る、東海岸エリアの現状—ベルリン・ミュンヘンコースの実施も発表

vol.02X-HUB TOKYOキックオフイベント

2017.12.14

米国東海岸コースがスタート。オープンセミナーも定期的に実施

「X-HUBは今後、世界中のスタートアップエコシステムと接続していきます」—— 10月30日に開催された東京都主催のX-HUB TOKYOキックオフイベントの冒頭挨拶で、X-HUB TOKYO業務責任者はこう切り出した。

近年、世界の産業を牽引したり、世界の人々の生活を大きく変えるような企業が日本から生まれていない。東京都主催の起業家支援新プログラムX-HUB TOKYOが目指すのは、世界のスタートアップ・エコシステムとの連携体制の構築。東京のスタートアップ・エコシステムを、グローバル化したエコシステムのレベルへと昇華させ、東京発・グローバルベンチャー企業が次々と育っていく環境を構築することを目的としている。


ボストン東海岸エリアがスタートアップに理想的な環境である理由

東海岸コースの採択企業が発表となったこの日、世界最大規模のスタートアップコミュニティを誇るCambridge Innovation Center(以下CIC)内にある CIC Venture Cafe Global Institute(以下VCGI)の代表であるTravis Sheridan氏が来日。講演が行われた。

実は、2017年度グローバルスタートアップエコシステムランキングにおいて、ニューヨークはシリコンバレーに次いで第2位、ボストンは5位にランクインしている。Sheridan氏は「スタートアップエコシステムが成り立つ街に必要な要素は4つ。スキルのコラボレーション、豊富なアイデア、資本、そしてイノベーションへの情熱です」と語るが、これら要素を兼ね備えた、世界でもトップクラスのスタートアップエコシステムを持つのが米国東海岸エリアである。

東海岸エリアの特徴はそれだけではない。ボストン大学やMITを始めとする有名大学が点在しており、VCGIが関わりを持つ大学だけでも56校。さらに700以上のベンチャーキャピタルが存在し、全米の10%のVC投資がマサチューセッツ州で行われているという。このエリアは教育・リサーチ・投資・コマーシャライゼーション・サポート・インフラなど、スタートアップにとってあらゆる面で十分なリソースがある、非常に恵まれた環境なのだと、Sheridan氏は強調する。


シリコンバレーとボストンとの違い

スタートアップを語る上で外せないのが、先述の通り世界ナンバーワンのエコシステムを誇るシリコンバレーである。ボストンを中心とした東海岸エリアとシリコンバレーでは、どのような違いがあるのだろうか。

実際にボストンでの起業経験を持つNature, Inc. CEO 塩出晴海氏、Sheridan氏が登壇したパネルディスカッションでは、シリコンバレーとボストンなど東海岸エリアの違いについて議論された。

Sheridan氏は「B to Cの事業を展開するならシリコンバレー、B to Bにフォーカスした事業であればボストンが適している」とその違いを明確に示した。ボストンには大企業の本社も多く、ジョイントベンチャーやパートナーシップなどを組む機会も多い。電力などエネルギー関連事業を手がける塩出氏も、実際にボストンに行ったことで事業のパートナーとなりうる企業と繋がったり、ノウハウを得たりする機会も多くあったそうだ。

現地でのインキュベーションプログラムや施設活用方法について、Sheridan氏は、「一つの産業に特化したアクセラレータープログラムに参加した方がいい」と、その業界に特化した人脈の構築をアドバイス。実際に現地でピッチイベントなどに参加していた塩出氏は「現地の起業家とつながるきっかけになるだけでなく、様々な専門家から知見を得ることができた。起業直後やサービスのローンチ前であっても、自分が何をやりたいかというビジョンをしっかり伝えることさえできれば、ネットワーク構築のチャンスが生まれる」と当時の経験を語った。


ドイツ ベルリン・ミュンヘンコースの開催を発表

イベント後半ではX-HUBプログラム コース1(米国東海岸コース)に臨む採択企業の発表が行われた。

採択企業は、法人向けクラウド型不正アクセス検知サービスを手がける株式会社カウリス、獣医師向けコミュニティサイト「ベットピア」を手がける株式会社Zpeer、インバウンド向けのチャットボットを手がける Bespoke Inc.、「日本の価値ある文化を、時代とともに作っていく」をコンセプトに訪日観光プラットフォームを手がける株式会社MATCHA、AI×FinTech分野に着目し、ビットコイン予報などを手がけるファントムエーアイ株式会社の5社。これら5社に対して、CICとVCGIが連携しアクセラレーションプログラムが実施される予定だ。

イベントの最後に、X-HUBプログラム 第2弾「ドイツ ベルリン・ミュンヘンコース」が発表された。

ドイツ発のスタートアップというと、デリバリーヒーロー(B2Cフードデリバリープラットフォーム)やZalando(オンラインセレクトショップ)、SoundCloud(クラウド型音楽配信)などが挙げられる。なぜ、ドイツなのか。その理由を責任者はこう語る。「ベルリンは、グローバルスタートアップエコシステムでは第7位、欧州ではロンドンに続き2番目の大きなスタートアップ・エコシステムがあります。ドイツの事情は日本ではあまり詳しく知られていませんが、実は生活コストも安く、中小企業も多く集積している。さらに政府も外部からの企業誘致に熱心で、これからより一層盛り上がっていく場所なのです」。

このプログラムは1月中旬~3月下旬に実施。ベルリンはソフトウェア(サービス)、BMW等が本社を構えるミュンヘンはオートモーティブと、2つの重点分野が設定されている。米国東海岸、ドイツをはじめ、X-HUBは今後も世界中にネットワークを広げていく。