新型コロナウイルス感染症の影響をうけ、世界各地のスタートアップやエコシステムにも変化が生じています。With/Afterコロナを見据えて日系企業が海外市場に展開する際は、どのようなポイントが重要になるのでしょうか。

すでに海外で成功している日系のスタートアップなどから、コロナ禍における日系企業の現状をふまえつつ、今後海外展開を目指す日系企業やスタートアップが留意すべきポイントを教えていただきました。

コロナ禍における日系企業の海外進出状況

新型コロナウイルス感染症の拡大により、日系企業を取り巻くビジネス環境は大きく変化しました。しかし、依然として日系企業の多くが海外展開を志しており、進出意欲に衰えは見られていません。日本貿易振興機構(JETRO)が2020年に実施した調査によると、新型コロナウイルス感染症の影響をうけても、今後3年間で新たに海外に進出したいと答えた企業の比率は微減にとどまりました。

また、経済産業省が2021年に発表した「第50回海外事業活動基本調査」によると、2019年度に海外に新たに現地法人を設立した日系企業は266社にのぼりました。その割合を地域別にみると、東南アジア10か国から成るASEAN(東南アジア諸国連合)や北米のほか、中国へ進出した企業の割合が上昇しています。

新型コロナウイルス感染症の新規感染者の減少やワクチン接種の進展をうけ、昨今ではビジネス環境も好調な兆しが見え始めています。

経済産業省が公表した2021年4~6月期の海外現地法人四半期調査によると、日系企業の売上高は前年同期比49・1%増の3033億㌦(約33兆1982億円)に拡大。2020年に新型コロナウイルス感染症の影響で大きく減少した反動により、調査開始以来最も高い伸びを記録しました。

さらに、設備投資額も同13.4%と7期ぶりに増加しており、今後も日系企業の更なる海外進出や事業展開が期待されています。

海外進出戦略を描くうえで大切な4つのポイント

現在海外展開を視野に入れている企業やスタートアップにとって、海外進出戦略を描くうえではどのような点に留意すべきでしょうか。ここでは、4つの重要なポイントをご紹介します。

1:海外展開を真に望んでいるかどうかを見極める

海外では文化やビジネス習慣が大きく異なり、事業を進めるうえではさまざまな課題が生じます。そのため、創業者や経営陣が海外市場のカスタマーに対して共感を持っているか、現地の課題を解決したいという強い気持ちを抱いているかどうかが、海外展開の成功の鍵をにぎります。海外展開自体が目的にならないよう、留意しましょう。

2:自社の強みを把握する

海外で戦う際には、自社が展開するサービスや商品のなかで、どのポイントが優位性となりえるかを判断しましょう。自社のビジネスを通じて、何の課題をどのように解決できるのかを考えながら、これまでの実績や技術力を分析し、実力を客観的に測ることが求められます。

3:現地のニーズを調査する

自社のプロダクトやサービスに対してどのくらいのニーズがあるかを踏まえて、海外進出について考えるようにしましょう。海外市場の潜在的な規模は大きいのか、どのくらい根深い課題が現地にあるのかを調査することも重要です。また、ニーズをふまえたうえで、参入すべきタイミングについても同時に考慮しましょう。

4:相手の文化を尊重する

たとえ同じアジア圏であったとしても、言葉や文化はもちろんのこと、ビジネスの進め方も大きく異なります。そこで大切になるのが、現地の方々と共に1つの産業を育てるという気持ちをもてるかどうかです。まずは現地の課題を分析し、相手がどうしてほしいのかを考えてから、自社のサービスや商品を通じて何ができるのかを検討しましょう。相手の利益をどれだけ真剣に考えられるかどうかが、ひいては自社の利益にもつながります。

海外進出を目指すうえで、リーダーに求められる2つの要素

海外展開を推進するうえでは、起業家やリーダーにも心構えや戦略が求められます。そこで、海外進出を目指すうえでリーダーに求められる重要な2つの要素をご紹介します。

まず1点目の要素としては、起業家やリーダーがパッションを持ち続けることです。海外展開を目指すうえでは、予期せぬ問題が多々発生します。そこで最も欠かせないのは、「絶対に成功させたい」という強い想いをもつリーダーの存在です。想いをもったリーダーが先導して現地の事業を率いることで、見えてくる結果も変わっていくでしょう。

そして2つ目の要素は、気持ちに余裕をもって、予期せぬ出来事をむしろ楽しむくらいの気概をもつことです。違いを尊重しつつも、常に歩み寄る姿勢が求められます。

まとめ

With/Afterコロナにおいて海外展開を目指す日系企業には、ビジネス推進における戦略の策定や情報収集がこれまで以上に欠かせません。現在はオンラインとオフラインの両方をうまく活用することで、日本に居ながらにして海外市場やスタートアップの動向を得ることができます。

都内スタートアップの海外進出をサポートする「X-HUB TOKYO」では、海外展開に必要な情報やピッチイベント、そしてメンタリングなどの機会を提供しています。

また、海外のエコシステムやグローバルオープンイノベーションなどをテーマとするイベントも随時開催しています。最新のイベント情報をチェックして、海外展開に向けた一歩を踏み出してみましょう。

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