海外進出を目指す日本の企業やスタートアップにとって、現地パートナーや投資家からのサポートは、ビジネスの成功に欠かせない重要な要素です。自社のビジョンや事業内容、そして今後の展望を相手に伝える際には、英語のピッチデック(ピッチで使う資料)作成が求められるケースもあります。

日系企業が英文でビッチデックを作成し、英語でプレゼンテーションを行う際には、どのような点を意識すべきなのでしょうか。作成時につまずきやすい課題を整理したうえで、効果的な英文ピッチデックの作成方法をまとめました。

日系企業が抱えやすい、英文ピッチデック作成時の不安

日系企業やスタートアップの多くが、英語でピッチデックを作成する際には「英語力」に不安や課題感を抱えています。しかし、伝えたい内容を簡潔にまとめることさえできれば、英語力はピッチの成功を左右する要素にはなりにくいのが実情です。

また、ピッチデックの作成時にデザインに強くこだわりをもったり、時間をかけて作り込み過ぎるようなケースも見受けらます。しかし、伝えるべき内容が簡潔に整理されていれば、デザインにこだわる必要性はほとんどないと言えるでしょう。

英文ピッチデックを作成する前に確認したい、2つの注意事項

英文のピッチデック作成にあたっては、まずは2つの点を事前に確認しましょう。

1:オーディエンスを明確にしよう

プレゼンテーションの相手が投資家なのか、もしくは協業先を探している現地の大手企業なのかによって伝えるべき内容は大きく異なります。相手が投資家の場合は、キャッシュフローの予測や資金調達に対してどのようなマイルストーンを掲げているのかといった、投資家が必要とする情報を網羅する必要があります。資料やスライドを作成する前に、オーディエンスを必ず確認するようにしましょう。

2:必要な資料の種類を理解しよう

プレゼンテーション相手と場面を確認したあとは、作成すべき資料の種類を確定させましょう。ピッチデックが求められているのか、もしくはもっと詳しい事業の説明資料を作成する必要があるのか。一つのピッチデックで両方の機能を果たそうとは考えずに、それぞれを分けて考えて作成に臨みましょう。

英文ピッチデック作成時の3つのポイント

英文ピッチデック資料を作成する際には、具体的にどのような点を意識すべきなのでしょうか。ここでは、留意したい3つのポイントをご紹介します。

1:スライドのメッセージは端的に、シンプルに

大前提としては、メッセージが伝わりやすいスライドの作成を心がけましょう。これは日本語の資料作成と同様のポイントとなりますが、1枚のスライドに情報量を多く詰め込まないことが重要です。1枚のスライドには1つのメッセージの記載のみにとどめましょう。一般的にはフォントは24pt以上、書体はサンセリフが見やすいスタイルだとされています。

投資家や協業先は、すでに多くの企業のピッチを目にしています。そのなかで相手の頭や心に残るメッセージやプレゼンテーションを届けるためには、情報を多く盛り込んで「作り込もう」とはせずに、見やすく伝わりやすい資料を作成するようにしましょう。ピッチデックは、あくまでも脇役のような存在です。発表時には自分自身が最も伝えたいメッセージを相手に届けることに注力しましょう。

2:基本の構成に沿って作成しよう

ピッチデックには基本的な構成の型があります。基本構成に沿ってスライドを整理することで、より伝わりやすいスライドが作成できます。課題やソリューション、ビジネスモデル、実績、今後の展開計画やチームメンバーの説明を盛り込みましょう。

3:動画や画像の活用も検討しよう

特に英語でのプレゼンテーションに不安がある場合は、動画の活用を検討しましょう。例えば、プロダクトの説明時などにも動画の使用は効果的です。プロダクトの使用シーンを撮影し、事前に英語で簡単なテキストやサブタイトルを入れておくと、より伝わりやすい資料が作成できます。

ピッチデックが完成したら、ピッチ当日までプレゼンテーションの練習を重ねましょう。時間を計って何度も声に出してみることで全体の流れが不自然ではないか、過不足はないかなどにも気付き、プレゼンテーション全体をブラッシュアップできます。

まとめ

海外展開を進めるうえでは、英語で自社の説明が求められる機会が増えてきます。効果的なピッチデックを作成してしっかりと事前に練習時間を確保できれば、ピッチの成功確率は高まり、理想とする結果の実現につながるはずです。

都内スタートアップの海外進出をサポートする「X-HUB TOKYO」では、海外展開に必要な情報の発信だけでなく、ピッチイベントの開催やピッチデック作成のサポートを行うメンタリングなどの機会を提供しています。

また、海外のエコシステムやグローバルオープンイノベーションをテーマとするイベントも随時開催しています。最新のイベント情報をチェックして、海外展開に向けた一歩を踏み出してみましょう。

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