企業が海外進出を考えるにあたって、どのような支援が有用で、どこで利用できるかについて説明します。

支援制度の必要性

企業が海外進出を実施する場合、自社だけで完結できることは少なく、それぞれのフェーズで外部団体による情報提供や融資、サポートが必要となります。必要となる支援を明らかにし、どこで必要なサポートを受けられるか、知ることも海外進出に向けた重要な準備です。

充実したサポートを受けることができれば、未知なる海外でのビジネスをより安全に余裕をもって進めることができます。また自社の苦手な部分、欠けている部分を外部の支援に頼ることで、得意分野に集中することができ、本来の力を十分に発揮しやすくなるでしょう。

実際にサポートや融資などを受ける際には、段階に応じた適切な内容、条件のものを選ぶことが必要です。これから海外進出の計画を行う段階と、すでに直接投資や輸入などで海外進出を果たしている段階では、利用できるサポートも違います。

また、タイミングを逃すと制度を利用できないこともあります。そのため、常に各団体の取り扱っている支援制度の情報に目を光らせて、機会を逃さないようにしなければいけません。

法制度や商習慣に関する情報提供


海外進出において注意したい最初のポイントは、進出先の法制度や商習慣などです。海外でビジネスを行うにあたっては、進出先の法制度に従ってビジネスを進めていくことになります。

また、ビジネス成功のためには、その現地での商習慣に合わせていくことも大切です。日本国内で行っていたビジネスが成功していたとしても、海外のどの国、エリアでも成功するというわけではありません。

そのため検討している進出先の商習慣を理解し、それに合わせた展開を計画していく必要があります。もし自社の商品やサービスが現地の商習慣に合わせられないようならば、根本的に計画を見直す必要すらあるかも知れません。

そのため準備の初期段階では、その国や地域の基礎知識として法制度や現地の商習慣などの情報を提供してくれるサポートは大変重要です。

セミナーなどに出席してもよいですし、自社自身で海外情報のレポートやニュースなどを集めるのもよいでしょう。また、さらに生きた情報を得るために、海外進出支援を行っている団体に所属したり、コンサルタントやメンターを紹介してもらったりすることも有効です。

海外の生の情報を得られる無料のブリーフィングサービスを行っている団体もあります。

市場調査やマーケティングの支援

市場調査やマーケティングのサポートも、海外に進出しようとしている企業にとって大切なものです。市場調査は初期の計画段階から海外進出を果たした後までも長く続けていく必要があります。

常に変わりゆく市場とそれを取り巻く、影響を与えうる環境に目を光られておくためには、多くの時間や人的資源が必要です。そのため、すでに情報や調査のノウハウを持っている外部にサポートを求めることで、時間や労力を削減した方が効率良く海外進出の準備を進められることが多いものです。

市場調査やマーケティングの支援としては、海外展開支援を専門に行うプラットフォームやコンサルタントを使用する他、独立行政法人や各省庁によって実施されているセミナーや各種サービスなども利用可能です。より踏み込んだ内容のリサーチが必要な場合には、コンサルタントやリサーチ会社に依頼して、店頭調査や現地インタビュー、進出先に詳しい専門家のヒアリングなどを行うこともあります。

資金に乏しい企業や個人事業主などの場合には、準備段階のコストを抑えることは重要です。進捗に合わせて利用するサービスを変えることが必要となります。

販路の開拓


海外を市場ととらえた場合、海外進出のための計画や情報収集が進んだら、次に販路の開拓についても考えなければいけません。海外でビジネスを行うにあたって、参入できる道筋を見つけることが本当の第一歩となります。

現地での販売先の発見や提携、販売ルートの構築など、商品やサービスを提供する場が得られなければ、海外進出することはできません。

市場調査の結果、参入のチャンスがあることが分かったら、具体的な販売活動の方法を確立する段階に移ります。国内では成功していても、海外では一からのスタートとなり、既存顧客はゼロです。そのため新たに販路を作っていく必要があります。

しかし、どのように販路を見つけ、進めて行けばよいか等、具体的なアプローチ方法を知る必要があります。販売ルートの構築のためには、まずは現地の販売代理店やパートナー企業を探す方法があるでしょう。

現地のユーザーに近く、ニーズを知っている現地のビジネスパートナーとなります。これは各機関や企業などがマッチングサービスなどを展開しているため、こうしたサービスを利用することで達成しやすくなります。

また、展示会や見本市・商談会などに出展することも有効です。海外展示会などへの出展には、国(ジェトロなど)や東京都(中小企業振興公社など)で支援メニューが用意されていたりします。ぜひそのような支援メニューも活用ください。

企業の海外進出を対象とした補助金や融資制度

海外進出を対象とした補助金や融資制度には、さまざまな団体・組織の行うものがあります。返済の必要なタイプや返済が不要なものもあり、金額の上限や利用できる条件など、それぞれの支援内容も違うため、自社に適した支援制度を探して利用することが必要です。

公的な支援としては、東京都産業労働局の行っている、産業力強化融資「海外展開支援」、日本政策金融公庫や沖縄振興開発金融公庫の行っている「海外展開・事業再編資金」や独立行政法人中小企業基盤整備機構の行っている「ファンド出資事業」などがあります。中小企業庁による「共同・協業販路開拓支援事業費」「小規模事業者持続化補助金」といった補助金制度もあります。

また商工中金やJBICなどでも海外進出を希望する企業へ向けての融資制度を設けています。

融資や補助金を直接行うのではなく、資金調達の支援として債務保証を行うサービスもあります。こうしたサービスを利用することで、海外での金融機関からの事業資金の調達をしやすくなり、海外での事業展開をスムーズにします。

このような支援サービスには随時受付ばかりではなく、公募・受付時期が決まっているものもあるため、チャンスを逃さないように情報を前もってチェックしておくことが必要です。

まとめ

以上のように、現地の法制度、商習慣の理解や、市場調査やマーケティングを通した販路拡大をサポートするために、多くの制度が用意されています。これらを活用し、効率的に海外展開を進めることが賢明です。

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hawaiiwater

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