海外進出の際には、多額の資金が必要となります。中小企業や個人事業など、資金源が十分でない場合に利用できる助成金・補助金制度をチェックしておきましょう。

助成金・補助金制度で海外進出を諦めない

昨今では多くの日系企業が海外進出を検討していますが、これには多額の資金が必要です。海外進出には国内以上に大きなリスクも伴うため、慎重に計画立案を行う必要があり、人材育成や増員、情報収集などにもコストアップは避けられません。

そういった資金面の不安を取り除く支援として、助成金・補助金制度があります。

こうした制度の多くは資金面だけでなく、事業の相談や海外進出へのアドバイス、情報提供なども行っているため、トータルサポートとしても活用できるでしょう。

経済産業省の実施する助成金・補助金制度


経済産業省(中小企業庁)の行っている助成金・補助金制度には、以下のものがあります。

「クールジャパンプロデュース支援事業」
公募期間:2019年5月7日~2019年6月7日

ブランディングやマーケティングの支援やサービス向上支援、プロモーションによって海外需要を拡大するための支援です。補助金のほか、さまざまなサポートを受けることができます。

補助率は補助対象経費の2分の1までとなっています。

「小規模事業者持続化補助金事業」(商工会地区分)
公募期間:2019年5月22日~2019年6月12日

小規模事業者の販路開拓等のための経費の一部を補助する事業です。公募は商工会議所で行われます。

補助率は原則3分の2、補助上限は50万円となっています。

「共同・協業販路開拓支援事業費」
公募期間:2019年5月13日~2019年6月14日

地域振興等機関が中心になり、販路開拓の補助を行います。補助率は原則3分の2、補助上限は5000万円までとなっています。

「国内・海外販路開拓強化支援事業費補助金」
公募期間:2019年2月7日~2019年3月7日

地域経済活性化と中小企業振興のための支援です。地域の優れた技術を生かした製造やサービスを行う中小企業に対して支援を行います。

補助率は2分の1、補助上限は500万円までです。ただし4社以上の共同申請では補助上限が2000万円までとなっています。

厚生労働省の実施する助成金・補助金制度

厚生労働省の行っている助成金・補助金制度には、以下のものがあります。

「海外進出支援奨励金」
これから海外進出を考える企業に対して人材育成費用をサポートするための助成金です。社員の海外留学費用として授業料や教科書代、住居費などを補助します。

上限は授業関係費用に年間最大100万円まで、住居費や交通費に年間最大75万円です。

「キャリア形成促進助成金」
こちらも厚生労働省が行う海外進出のための人材育成、社員の能力向上のための訓練費用のサポートです。海外関連業務のための人材育成訓練を行うにあたって、訓練実費の半額と1時間あたり800円の賃金補助を行います。

自治体が実施する助成金・補助金制度

自治体の行っている助成金・補助金制度として一部の例を挙げます。利用の可否は事業所の所在地などに関係するため、自治体の制度を利用したい場合には、自社の所在地で詳しく調べることも必要です。

東京都「グローバルニッチトップ助成事業」
募集時期:2019年6月下旬頃(予定)

東京都中小企業振興公社の東京都知的財産総合センターによる助成事業。世界に展開をする中小企業に対して、知的財産権の取得に関する経費助成や戦略策定を3年に渡り支援する制度です。

新潟県「地域中小企業外国出願支援事業補助金」
公募期間:6月

新潟県内の事業所が、優れた技術を海外で発揮するために、外国への特許出願などの必要経費を補助する制度です。

特許出願で1企業(1グループ)につき225万円意匠・商標で1企業(1グループ)につき90万円が上限です。

新潟県「海外見本市等出展 事業助成金」
海外の見本市などに出展するための助成金です。

静岡県「中小企業海外市場開拓支援事業」
海外見本市や外国語ホームページ開設、海外特許取得などの費用をサポートする事業です。静岡県内に本社のある中小企業が対象となります。

支援額は総額の2分の1、上限50万円です。

財団法人が実施する助成金・補助金制度

財団法人の行っている助成金・補助金制度には、以下のものがあります。

公益財団法人横浜企業経営支援財団「F/S調査経費の助成」
F/S調査にかかる経費のうち3分の2、最大50万円をサポートします。対象となるのは、海外旅費、宿泊費、現地交通費、通訳・資料翻訳費用等です。

公益財団法人大田区産業振興協会「海外見本市への出展支援」
大田区内に事業所を持つ企業に対し、海外見本市出展の費用の3分の1~3分の2をサポートします。また産業見本市に出した大田区共同出展ブースにおいて共同出展できるサポートもあります。

ひょうご海外ビジネスセンター「中小企業海外展開支援事業」
中小企業の海外展開をサポートすべく、FS費用を支援します。

その他の団体が実施する助成金・補助金制度

上記の他の団体が行っている助成金・補助金制度には、以下のものがあります。

アイ・シー・ネット「技術協力活用型・新興国市場開拓事業費補助金」

社会課題解決型国際共同開発事業として、南アジア・アフリカなど新興国市場で、社会課題解決にむけたビジネスプランを応援する補助金です。通称「飛びだせ Japan!」と呼ばれています。

アイ・シー・ネットという会社が行っており、中堅・中小企業からプランを公募しています。補助率は原則3分の2、上限は3000万円までとなっています。

全国中小企業団体中央会「中小企業組合等課題対応支援事業」
公募期間:2019 年4月 1日~7月 1日
・第1次締切 4月1日~5月7日(消印有効)
・第2次締切 5月8日~7月1日(消印有効)

中小企業組合などを中心に海外進出を図るための支援事業です。個別中小企業は対象外ですが、単体では難しい場合などに中小企業連携グループで行うことによって新しい販路を見出し、事業の活性化を図れます。

対象経費の10分の6以内でA型が2,000 万円、B型が1,158.8 万円までを上限としています。A型は事業終了後3年間以内に組合または組合員等の「売上高が10%以上増加」または「コストが10%以上削減」されることが見込まれる場合です。

展示会出展や開催は上限が500万円までとなります。

融資・助成金等の制度内容は記事掲載時点(令和元年6月)でのものです。最新の制度内容については各機関にお問い合わせください。

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