海外進出の際には、進出先の紛争などカントリーリスクや訴訟、売掛債権の回収リスクなど、国内事業に比べてリスクが高いことがあります。これらのトラブルに見舞われた際、被った損害を補償してくれる保険は心強い存在です。

海外進出での損害保険の必要性と、損害保険が補償してくれる範囲を紹介します。海外での裁判や損害賠償にかかる額は、莫大になることもあるため、補償内容は非常に重要な問題です。

海外進出で考えられるリスク

海外進出で損害保険が必要となるリスクはいろいろあります。日本国内でビジネスを行っている場合には考えられなかったようなトラブルに見舞われることもあれば、国内外に関わらず起こり得るリスクもあります。

海外で起こり得るリスクについては、初めての海外進出であったり、海外ビジネスをスタートさせて間もなかったりすると対応が及ばないかもしれません。しかし、対応の遅れが後々の経営を揺るがす大きなトラブルや賠償につながることもあるため、注意が必要です。

新興国に起こりやすいカントリーリスク

海外で考えなければいけない問題としては、新興国をメインにビジネス展開する場合に多い「カントリーリスク」があります。経済や政治において、いまだ不安定な部分を持っている国においては、突発的な紛争や政情不安などが起こり得るものです。

それが原因で事業を進められなかったり、撤退を余儀なくされたりするなど、今の日本では起こる可能性が低いトラブルも想定しておかなければいけません。

世界に広がりつつあるPL法への関心とリスク

海外で注意しなければいけないのが、PL法(製造物責任法)です。 製品の欠陥によって損害被った場合、企業などに対して損害賠償を求めることができる法律で、アメリカを中心にヨーロッパやアジア圏でも関心が高まり、制度が整備されています。

特にアメリカではPL訴訟によって発生する訴訟費用や損害賠償金が高額になり、企業の経営を圧迫しやすくなっています。

サイバー攻撃や情報漏えい、法令遵守の姿勢の違い

東南アジアなどの新興国で注意が必要な問題が、サイバー攻撃や情報管理の脆弱性、従業員のモラルの差などです。日本では考えられませんが、現地の従業員のセキュリティ対策やリスクマネジメントへの意識、リテラシー意識が低いことで、データの社外持出しなどが制限されていないこともあります。

また、法律では定められていても、贈収賄や不正会計など違法性のある行為が横行している国もあります。国内本社の目が行き届かないところで違法行為した場合も、本社が責任を負うことになるため注意が必要です。

海外進出のリスクを損害保険でカバー


海外進出においては思わぬトラブルが多く、日本では想定もしなかった問題が起こることがあります。また、トラブルが莫大な損害賠償請求を招くことも覚えておかなければなりせん。

海外でのトラブルは起こってからでは取り返しがつかないことになり、多額の賠償金によって経営が立ち行かなくなることもあります。また、トラブルが明るみに出ることで企業のブランドイメージや信用が失墜する可能性も高いです。

海外でのリスクへの備えとして、損害保険は有効な手立てです。海外のPL訴訟に使える損害保険に加入しておくことで、多額の訴訟費用や損害賠償金をカバーすることもできます。

アメリカの訴訟では、自社に非がなくても多額の訴訟費用を持ち出すこととなります。また、発生する損害賠償金も億を超える金額になることも珍しくありません。

日本でも海外でも、取引先の倒産や経営不振による売掛金の貸し倒れリスクはあります。ただし、高額の資金をかけた海外進出先での焦げ付きや貸し倒れは、国内でのリスクよりも経営に大きなダメージを与えることも。

さらに、輸出入で取引先がL/C取引(信用状取引)を受入れない場合には、代金回収リスクを負うことになります。こうした売掛金や商品代金の回収リスクにも備えられるのが損害保険です。

その他にも、貨物損壊リスクをカバーするサービスなども損害保険の範囲となるため、自社に必要な補償をしてくれる損害保険会社を選び、契約を結ぶと良いでしょう。海外ビジネスのリスクを補償する損害保険会社の選び方が分からない場合や、どこで取り扱っているか知りたいといった場合には、海外ビジネスをサポートする公的機関や海外進出関連のコンサルタント、プラットフォーム事業などに問い合わせてみてください。

まとめ

海外進出を考える上で、損害保険はとても重要な意味を持ちます。海外では日本国内ほど安全性は高くなく、従業員やパートナー企業、取引先に対して絶大な信頼を寄せにくい状況もあります。

また、訴訟が多く、高額な賠償金を求められるリスクなど、日本とは違ったビジネス環境にも対応することが必要です。海外で起こり得るリスクをカバーするためには、海外に対応している損害保険が有用です。

トラブルは国内本社に大きなダメージを与えることもあるため、早めの検討をオススメします。

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