海外進出で必ず感じる文化の違い

海外進出では、さまざまな障害がありますが、文化の違いに阻まれてビジネスが失敗に終わったという例も多く見かけます。国が違えば文化が違い、そこに住む人々は日本人とは違った考え方や習慣、嗜好を持っているものです。

それを認識せずに、もしくは認識してはいたものの対策をせずに海外進出したならば、失敗しても文句は言えません。特に日本人は外国語のコミュニケーションに精通した人が少なく、グローバル社会に通用するレベルの交流ができないことも多いものです。

そのため、考えの違いを埋めることができなかったり、他国の常識や習慣、嗜好を正しく把握できなかったりといった問題が起こりやすくなります。現地で採用した人材を育成や現地パートナー企業との連携、現地のマーケティング戦略など、異なった文化同士の差を埋めなければ成功できないシーンがたくさんあるのです。

もちろん、国や地域によっては在留日本人が多く、日本人相手にシェアを確保できることもあるでしょう。しかしそれだけではグローバル展開や海外進出に成功したとは言えません。

また、海外進出のメリットは現地の人材や市場シェアがあってこそ最大限に活かせるものです。文化の違いを乗り越え、そこに暮らす現地の人々の間に企業や商品が浸透してこそ、海外進出は真の成功と言えるのです。

海外進出で注意したいビジネス上の文化の違い


海外進出を阻む文化の問題において、従業員育成やパートナーとの連携を邪魔するのが、ビジネスや働き方の違いです。勤勉で精緻な作業ができるスタッフが必ずしもたくさんいるとは限りません。

日本国内と同じような感覚で従業員を雇用し、育成しようとしても、失敗に終わるケースが多くあります。また、日本人と現地の人とは感覚が異なることもあり、仕事の完成度や気持ちにもズレが生じやすくなります。

こうしたズレはお互いの不満を育て、協力体制を揺るがす原因です。長期雇用が一般的ではない・残業しない・工期や納期を守らないといった点も、生産や雇用体制を不安定にします。

また、日本の「おもてなし」の精神による丁寧なサービスも、海外では理解されにくいことです。飲食店でのお水やお茶のサービス、商品に対するアフターサービスやカスタマーサポートなども国によっては浸透しておらず、理解が得られないこともあります。

このような場合、日本の文化を押し付けることで現地従業員の不満を高める原因になることがあります。国によっては大規模なストライキを起こし、補償金などを要求する事象が頻発しているケースもあります。

一方、日本のサービスが他国で差異化を図るチャンスも眠っているため、現地の習慣や文化にすべて合わせるのも正解とは言い切れません。雇用体制の違いによる育成困難は、製造過程などを見直して育成を十分に行わなくても賄える構造を作ることで解消できます。

また、サービスについて理解が得られない場合には、日本でのサービスを映像などで見せて教育するなどの工夫が必要です。パートナー企業とのすれ違いには、自社のビジネスに精通した通訳や質のいいパートナー企業との橋渡しをしてくれるサービスやプラットフォームなどが効果的な対策になります。

海外進出で注意したい消費者と消費行動の違い

海外進出での文化の違いによる障害には、消費市場の拡大や、進出のしにくさもあります。自社で作った商品やサービスが現地のニーズと違ってしまうと、消費者の気持ちが離れてしまい、売上を思ったように伸ばせません。

日本の商品やブランドは海外でも人気となっています。しかし、日本で成功したビジネスモデルや商品がそのまま海外で受け入れられることばかりではありません。

国や地域ごとに好みのサイズやフレーバー、色、容量などが違い、日本から海外市場へ進出する際には、その地の消費者や消費行動に合った商品の調整とマーケティング戦略を行う必要があります。アメリカでは日本よりもビックサイズにする、中国では家電に消費者の好む金色を取り入れるといったお国柄に合わせた戦略は友好的です。

常に進出予定地へ足を運び、その土地の文化や国民性を肌で感じ、自社商品やサービスに加味していくことが重要になります。海外ビジネスでは、スピード感や常に先を見て柔軟に変えていくことも大切です。

評価改善を繰り返すことで、その国に合わせたマーケティング戦略を選び続けていく必要があります。

まとめ

海外進出でネックとなりやすい文化の違いも、具体的な問題点に焦点を当てて対策していくことで乗り越えられるケースもあります。現地のやり方にすべて合わせるのではなく、どこかに自社ブランドの品質を維持しつつ現地の声も取り入れられる落としどころを見つけてみましょう。

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hawaiiwater

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