私たちの身の回りには数多くの輸入品があふれています。また、ビジネスにおいても、利益の追求や、コストカットのために海外進出を検討している企業は多数存在します。今回は、これから海外でビジネスをしていく上で確認しておきたい規制についてまとめました。

海外との貿易に関わるさまざまな規制

日本では、外国為替及び外国貿易法により特定の貨物や特定の国との貿易に経済産業省の許可、承認が必要となっています。例えば、貿易する商品や相手国、地域が国際安全保障上の問題を抱えている場合、また、動物保護のためのワシントン条約に抵触するものなどは、経産省経済産業局へ問合せが必要です。

日本においても、関税法によって銃砲刀類や印紙切手等の模造物、大麻等の薬物の取扱いについては輸入が禁止されています。これらに違反すると刑事罰、行政制裁、警告等の処分対象となります。

さらに、食品の場合は食品衛生法、酒類については酒税法、医薬品や化粧品については医薬品医療機器等法、家電製品については電気用品安全法というように、商品の種類ごとに規制を定めた法律があります。それぞれ税務省や経産省、厚労省など扱うものによって所管は様々です。

輸出の場合は、輸出先相手国には様々な規制があるため、相手国への諸官庁への問い合わせも必要です。事前申請等が必要な場合もあるので余裕を持って調査しておきましょう。これらの規制についてはコーディネーターや現地パートナーとの情報交換しておくようにおすすめします。

貿易に関する規制を知るためには

貿易に関わる規制について調べるのにはいくつか方法があります。例えば、輸出統計品目番号(HSコード)がわかっている場合は、日本関税協会が毎年発行する「輸出統計品目表」の当該品目の「参考」欄を参照してみましょう。法令(関税関係法令以外の法令)なども示されています。

また、日本貿易振興会(JETRO)の「貿易投資Q&A」サイトや、対日貿易投資交流促進協会(MIPRO)の「輸入ビジネス関連情報」サイトも参考にするといいでしょう。ただし、これらの情報はあくまで参考です。輸出の条件などによって扱いが変わることがあります。それぞれ扱う法令が違うので、規制や疑問がある場合は所管省庁に問い合わせましょう。

海外での製造物責任(P/L)法

海外での製造物責任(P/L)法
海外に製品を輸出したい場合、事前に考えておきたいのが製造物責任法(PL法)対策です。海外では日本よりも製造物責任に関連したトラブルが多く、PL法も独特です。ここではアメリカのPL法について紹介します。

アメリカのPL法では、製品がアメリカのどの地域で使用されていても、被害者が提訴した場合、応訴して責任が無いことを証明する必要があります。これは契約書などで免責条項を設けていても免れることは出来ませんので、PL法訴訟が起こされるリスクについては事前に入念な準備・調査を行う事が不可欠です。州によってはPL訴訟の被告となり得る範囲が違うことがあり、製品の製造業者のほか、商社、販売業者の他に部品の製造販売業者などが含まれることもあります。

また、アメリカでは陪審員制度が採用されているため、PL法訴訟は原告有利に進みやすい傾向にあります。また、集団訴訟を起こされた場合は莫大な損害賠償請求がされる可能性もあります。米国連邦裁判所の統計資料によれば、連邦地裁に起こされたPL法訴訟数は増加傾向です。日本とは消費者側の考え方も大きく違うため、海外進出するときには今までのビジネスと全く違うものと考えましょう。

海外PL法へのリスク対策

PL法に関連するトラブルは、問題が発展すれば莫大な損害賠償責任が発生することになり、企業経営にも大きな影響を与えます。そのリスクを回避するための対策として、PL法保険があります。PL法保険は損保会社での申し込みになりますが、保険料は抱えているリスクによって個別に設定されます。PL訴訟の経験豊富な米国保険会社と提携した、国内損保会社に付保することも可能です。また訴訟を起こされたときのために現地の弁護士を選定しておくことも大切です。

製品の安全性にかかるポリシーの策定や品質管理体制の見直しなど、企業の在り方や経営方針に大きな変化が求められることもあります。また、消費者への警告や表示など常に最善を尽くしているというデータと、その社内体制記録も自分を守るために必要です。

それでも販売開始後に製品の不具合が見つかった場合は、早期に消費者に対してのアナウンスを行い、無料回収や修理など、十分な措置を迅速に講じることができるように危機管理体制を整備しましょう。

まとめ

海外とのビジネスは法律や規制など幅広い視点での検討が必要です。海外でのビジネスは日本の慣習や常識は通用しません。代表者のビジネス感覚にだけ任せてしまうと危険なので、専門家とともに会社全体で海外進出への戦略を組み立てるようにしてください。また、あらかじめ調査や事業計画案の作成も必要です。海外進出のノウハウを持った専門家や現地パートナーに協力を求めましょう。

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