近年、海外進出して世界に販路を広げる企業が増加しています。海外法人を設立する企業も増加傾向です。しかし、その場合の売上にかかる消費税はどのように扱うのでしょうか。海外売上の消費税についてまとめました。

日本での税制の基本的な仕組み

消費税とはモノやサービスを購入することに対して課せられる税金のことを言います。そのため、事業主がモノやサービスを販売して消費者が購入する場合、納税する義務があるのは消費者です。

ただし、この消費税は国内で事業主が行ったものに対して課せられます。つまり、海外に対して物やサービスを展開している場合、消費するのは海外になるため日本国内の消費税の対象にはなりません。

消費税が課税されるかどうかは、消費が国内かどうかによって判断されます。モノの輸出の場合は国内のものか判断が簡単です。しかし、サービス等の役務提供の場合はその判断が難しいケースもあります。

輸出取引は消費税が免除される

日本国内で販売するのと、海外に向けて販売するのでは経済的な実態には大きな違いはありません。しかし、消費税という点でいえば、国内取引と輸出取引には大きな違いがあります。

消費税は国内で事業主がおこなった取引が課税対象です。しかし、輸出取引の場合は実際に消費されるのは海外です。国内で消費されないものに対しては課税とならないので、消費税の納税は免除となるのです。消費税法では免税取引となる取引について定められています。一般的な輸出取引のほか、通信や郵便、また非居住者や海外法人に対する役務の提供も免税取引です。

免税取引とならないもの

非居住者や海外法人に対する役務の提供は前述のように免税取引となります。一方で免税されない、つまり課税取引となるものもあります。

1.国内に支店を有する「非居住者」や「外国法人」への役務提供

非居住者や海外法人が、日本国内に支店などがある場合は輸出免税の適用はありません。国内に支店がある場合は、海外向けのサービスであっても国内支店を通じておこなわれているという考え方になります。(消費税法基本通達第2節 輸出免税等の範囲7-2-17)

ただし、日本国内に支店などがあっても要件を満たすことで輸出免税となります。まず、国外本店などに直接役務の提供をおこなっていて、国内支店などが直接的に関わっていない場合、また、国内支店等の業務が、今回の役務提供に関連しているものではない場合などは輸出免税の対象となります。

参考サイト:国税庁 (国内に支店等を有する非居住者に対する役務の提供)

2.消費税基本通達での例示

役務が日本国内で完結するものも免税にはなりません。日本国内にある資産の運送や保管のほか、日本国内の飲食や宿泊とそれ等に準じるものは課税対象です。(消費税法基本通達第2節 輸出免税等の範囲7-2-16)

例えば、日本国内ホテルでの宿泊や美容院やサロン、医療費などは課税となります。これは国内で消費されていると判断されるからです。

参考サイト:国税庁 非居住者に対する役務の提供で課税されるもの

国内と国外両方での役務提供

国内と国外両方での役務提供
サービスの中には国内と国外両方の土地で役務提供を行うケースも想定されます。そのような場合は役務提供を行う者の事務所所在地で判定します。つまり、役務提供を行った事務所所在地が日本なら課税取引となります。また、役務提供場所が具体的に特定出来ないようなケースでは契約書で記載された役務提供場所によって判断することとなります。

具体的には日本本社から海外工場に技術指導をおこなった場合は、役務提供が海外なので免税となります。一方で外国法人が日本工場で技術指導をすると課税です。また、人材派遣会社がツアーコンダクターを派遣した場合は、日本国内と海外両方で仕事が発生します。このケースでは現地での役務提供のみの場合は課税となりませんが、出国や帰国まで行うサービスは原則課税取引です。

輸出免税を受けるために

輸出免税を受けるためには、輸出取引であることを証明する資料が必要です。例えば輸出許可証や税関の輸出証明などが該当します。また輸出の事実を記載した帳簿や郵便物受領証なども必要になります。

また、輸出業をメインとして行うのであれば、消費税の還付を受けられる課税事業者となったほうが有利な場合もあります。課税事業者になるためには税務署に「課税事業者選択届出書」を提出しなければいけません。輸出事業や海外向けサービスを始める予定がある場合は、あらかじめ用意しておきましょう。

まとめ

消費税は取引の実態のほか、契約書の内容、所属事務所などの違いで課税非課税が違います。消費税の支払いをはっきりさせるためにも契約書などで役務提供場所を明確にしておくことが大切です。このような海外法人に関係するノウハウは経験がものを言います。海外進出や海外向けサービスを始めるときは、実績も確認してパートナーを選ぶことをおすすめします。

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