日本では、会社を設立する際に法人として登記簿に登録します。それは海外でも同じです。海外進出するうえで海外法人を設立したいと考えるのであれば、登記方法も知っておきましょう。

法人登記とは

法人登記とは、自分の会社がどのような概要なのか一般的に公表することで公的に認められるための制度です。日本においては法人登記が法律によって義務付けられています。法人登記をおこなうことで登記事項証明書が発行され、法人登記がないと印鑑証明を発行することもできません。

新しい会社を設立した場合、銀行から貸し付けを受けるときや取引をするときなど、信用力が問われる場面がたくさんあります。社会からの信用を得るためのスタートラインとして登記があるのです。法人登記には専門的な知識や法制度の理解が求められるため、個人ではなく司法書士など専門家に依頼することが多いです。

必要な手続きは海外法人の形態によって違う

国によって登記までの手続きは違います。ここでは一般的な登記するまでのステップを紹介します。

1.会社設立の準備

子会社設立をする前に会社の設立の準備として事業目的などの設定をおこないます。また、事業目的は定款の中でも記載することになるでしょう。また、使用したい会社名(商号)についてあらかじめ承認を受けなければいけない場合もあります。中国のように事業名や地方名などを商号に入れる規定がある国もあるので、現地のパートナーと相談して決めるのがいいでしょう。

2.定款の作成と認証

会社の基本的事項となる内容を定款として定めます。定款に必要とされる内容は日本と大きく変わることはありません。しかし、国によって定める内容が違う場合があるので注意してください。

3.登記

登記するためには各種の申請書が必要になり、併せて資本金の払い込みも必要となります。日本では会社法によって最低金額の定めがありません。そのため資本金1円から会社設立が可能です。しかし、資本金の金額に定めがある国もあります。資本金の制限がある場合は海外進出の費用がかさむことがあるため、事前に資本金についても調べておきましょう。

4.開業の届け出など

実際に取引するためには銀行口座なども必要になります。また、事業によっては開業の届け出が要る場合もあるでしょう。

登記するときの注意点

登記するときの注意点
登記するときのポイントは、事業内容をできるだけ幅広く多くの目的事項を記載しておくことです。海外法人はスタートラインにつく前の段階です。事業が始まってから当初予定していた事業が拡大する可能性は十分にあります。また、国によって事業ごとに許認可が必要な場合もあります。事業拡大しようとするときに、あらかじめ定款に定めがあれば許認可が簡単になる可能性もあります。

反対に、外資に対する規制が置かれている国もあります。いわゆるネガティブリストと言われる内容ですが、国によって様々です。多くの場合は自国の利益を守るために規制業種や禁止業種が定められており、例えば、通信事業や新聞発行などの事業、国の資源に関わる林業や漁業といった第一次産業は外国企業が参入できないことがあります。

また、国内の事業保護のため外国よりも競争力が劣ると考えられる事業は算入できないケースがあるのです。登記するときにはこれらのネガティブリスト記載の業務を目的事項としないように注意してください。

出資比率を確認しておく

国によっては外国企業の出資比率について定めがあることもあります。例えばタイの場合は外国企業が子会社の過半数の株式を取得することができません。そのため現地にあるコンサルティング会社や金融機関に51%出資してもらったり、複数のパートナー企業に出資してもらったりすることになります。

コンサルティング会社などを利用した場合は出資に関する手数料として出資額の一部を支払うケースが多いでしょう。会社を設立するうえで手続きが煩雑となる規制のひとつなので、株主構成は慎重に決定しなければいけません。

マレーシアやメキシコのように100%の外資出資が認められている国もあります。このような企業に関する規制は国によって大きく違います。外国企業を誘致するためにこれらの規制を緩めにしたり、登記の手続きを簡便にしたりしている国もあります。海外法人設立をできるだけスピーディーにしたい、煩雑な手続きを避けたいという人はこういった国を選択肢に入れることを検討してください。

まとめ

登記簿に記載されることで、さまざまな実務をおこなえるようになります。例えば、現地に赴任する従業員のビザ申請もできるようになります。また設立した会社名で法人口座を開設できるようになるのも登記してからです。

銀行口座が開設できたら日本から資金を送金することも可能になり、実際の取引もスタートラインに立てます。あらかじめノウハウや経験がある専門家に依頼して会社のスタートに滞りが無いようにしてください。

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