海外進出した後、必ず問題となるのが設立した海外法人の管理です。管理が行き届かないと決算時にトラブル等が発覚することもあります。海外法人の連結決算についてまとめました。

海外法人の連結会計が難しい理由

海外法人は資本上、経営上で関係がある立場といっても実務的に運営しているのは海外です。そのため経理も現地スタッフが担当することがあります。しかし、日本の本社で事業を把握しておかないと問題点が生じることもあるので注意が必要です。

海外進出する上で、必ず考えておくべきなのが海外法人の経理を日本からどのようにサポートするかという点です。現地の経理担当者は必ずしも日本語が堪能とは限りません。そのため日本本社からのきめ細かなフォローは難しい可能性があります。また、外国の会計事情に詳しくないため、現地の監査法人に委託して決算まで依頼してしまうことも多いのです。

その結果、問題が発覚しやすいのは親会社の決算時です。一般的に親会社の決算が3月であれば、それに合わせて子会社の決算書が送られてくると考えます。しかし、実務では送付されてくるはずの決算書が届いてこないことも珍しくありません。

海外法人から送られてくる決算書の内容にも問題が生じることがあります。送られてきた決算書をもとに有価証券報告書を作成する段階で、子会社の虚偽表示が発覚するようなケースもあります。

海外法人での決算では、融通が利かない現地監査法人によって監査を受けている可能性も考えられます。監査と現地経理担当者の間に齟齬や理解不足が残ったまま、決算までもつれ込んでしまうこともあるでしょう。

国によっては会計監査の義務には違いがあります。たとえば、タイでは原則としてすべての法人に公認会計士の法定監査が義務付けられています。早い段階で現地の監査法人と監査スケジュールを協議しておくようにしましょう。

決算書の為替相場

海外法人の決算書を連結決算書に取り組む場合、為替の問題も絡んできます。基本的に海外法人の決算書は外国通貨をベースに作成されています。しかし、日本での決算は円貨でおこなわれるため、どのように円貨換算するのかが問題になるのです。

日本円に換算する場合の為替レートは、日々刻々と変化しています。海外法人での取引すべてをそのときの為替レートで円貨換算すれば正確な換算ができますが、実務上あまりに煩雑で現実的ではありません。

そこで会計基準においてはさまざまな為替換算方法が認められています。基本的には貸借対照表では決算日レートで換算します、また純資産においては基本的にそれが発生した時のレートで換算します。

一方で損益計算書を換算する場合は期中平均レートもしくは決算日のレートで換算します。ただし、親会社との取引は親会社が使用するレートで換算することになります。

為替換算の場合、為替レートの変動に応じた損益が計上され、為替換算調整勘定で処理されます。この為替換算調整勘定は、海外法人に投資したことによる累積としての為替影響額です。当然、為替が変動するためその日によって額は変化していきます。

為替換算調整勘定は、現時点では実現していない損益です。しかし、いずれ実現が予想される潜在的な損益なので、将来実現した時のためにその金額を把握しておく必要があるのです。

海外法人を管理するために

海外法人を管理するために
海外法人にトップ以外のマネージャーを置くことができない場合、管理業務が行き届かないことがあります。債権債務の管理やチェックがなされないなど財務部門の問題は大きなトラブルの火種になることも。

海外子会社でのトラブルや不正を排除するためには、小さなミスや不正行為も見逃さないという親会社のスタンスを示しておくことが大切です。具体的には行動規範やチェック体制などを全スタッフに周知しておきましょう。また定期的な研修もスタッフの質を保つために効果的な手法です。

さらに海外法人の管理部門には定期的な報告のほか、問題が生じた時などにもこまめな報告ができるような体制が求められます。海外法人の決算書も会社の財務状況を適切に示す書類のひとつです。海外法人の決算書を丁寧にチェックし把握するとともに、できれば現地に赴くようにしましょう。現地で決算書類の内容や現物を確認することも本社の監視機能をあらわすために効果的です。

まとめ

企業グループ全体の状況を把握するためには、海外法人も含めた連結決算書が必要になります。とくに上場会社では連結決算が当たり前で、グループ経営の意思決定のために欠かせない資料です。海外法人は地理的な問題、語学の問題から本社の管理、コントロール機能がうまく働かないこともあります。

連結決算のためだけでなく、グループとしての経営を円滑におこなうためにも細やかな管理体制が必要となります。海外法人の経営を現地のトップに依存しすぎると経営の監視監査の機能が働かなくなることもあるので、まずは体制づくりが課題となります。

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hawaiiwater

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