多くの企業が、グローバル化によって海外との取引を始めています。担当者によっては、英語力の必要性を痛感する場面も増えているかもしれません。海外事業をおこなう上でどの程度の英語力が必要とされるのでしょうか。

海外で会社を設立するために必要な英語力とは

日本人が英語を苦手としているというのは、日本人自身のみならず世界的に見てもよく知られています。仕事で英語に接する機会がある人の中にも、最低限通じればよいのではと思い、英語力の向上を目指していない人も多いかもしれません。

さらに通訳がいれば問題ない、今後AIが発達することで語学力は補えると考える人もいるでしょう。しかし、現時点では直接相手と交渉するなど仕事をスムーズにおこなうためにも、英語力はあった方が安心だと考えられます。

マネージャーや管理職に就いていたとしても、英語力がないケースもあります。そういった場合、海外進出先の国で現地のスタッフの管理コントロールに齟齬が生まれてしまうこともあるのです。

海外進出して失敗した事例の中には、語学力不足によるコミュニケーションの齟齬や、コミュニケーションが取れる人材の不足が原因と考えられるものも少なくありません。たとえば、海外進出先に日本人の従業員を駐在させる場合、大勢の現地スタッフに対して日本人が数名というケースもあります。そういったケースでは、現地スタッフとのコミュニケーションがうまくいかずに、駐在員がチームをまとめられないこともあります。その結果、本社との意思疎通が失敗してしまうこともあるのです。

また現地の社員にマネージャー職を任せた場合は、本社との会議もテレビ会議が中心となります。日本本社の経営陣にも英語ができるスタッフがいないと対応が難しいことも多いでしょう。

英語力と並んで必要となる能力とは

海外で仕事を進めるうえで、どうしても英語が必要な場面にぶつかることがあります。英語力を測る場合、挙げられるのがTOEICのスコアです。具体的にはTOEIC700~795点で最低限のビジネス英語のレベルであると言われています。会議の案内や通達、社内文書などを読んで理解する、日常業務のやり取りが可能なレベルといわれています。

本格的に海外で議論するためには、TOEIC800~895点は必要といわれています。一般的な企業でも海外部門への配属を希望する場合は、この程度のスコアを目安とする企業が多いようです。

もしも、海外で一から起業するという場合、ネイティブスピーカーに遜色なくやり取りするにはTOEIC900点以上は必要となるでしょう。ただし、あくまで駐在員として海外で働く場合は、そこまで高い英語力は必要ないかもしれません。またTOEICの点数が同じであっても会話の流暢さには違いがでます。

現地で英語を操るためにはシンプルな英語力だけでなく、会話力や交渉力も必要です。現地での交渉や、マーケティング、セールスのような対人関係が重要となる仕事ではそれだけ高い英語力が必要になります。一方でデスクワークや報告業務が中心であればあまり高い英語力が不要な場合もあるでしょう。エンジニアなどの場合は、打ち合わせやレポート以外は英語を使わないかもしれません。

従事する仕事によって必要な英語力は違います。会話はできても専門的な文献を読んだり、契約書の内容を理解するのは難しかったりと得意分野は人によって違います。その仕事に適した英語力を持つ人材を配置するようにしましょう。

社員の英語力を底上げするには

社員の英語力を底上げするには
海外事業を進めるにあたって、大切になるのが海外事業に従事する人材の確保です。また、将来的に海外事業をスタートする予定があるという場合は、あらかじめ語学に長けた人材が必要になります。そのため、多くの企業が従業員に語学力の向上を求めています。

社員の英語力を向上させるために多くの企業が取り入れているのが、英語研修です。簡単な初級英会話から、上級レベルのビジネス英会話まで、さまざまな研修が実施されています。もちろん、もともと英語力がある人材を採用するという方法もあります。しかし、面接や履歴書で語学力をチェックしても、業務を遂行する能力も持ち合わせているかどうかは不明です。

海外に派遣するために人材を採用するよりも、すでに能力がある人間に英語を身につけてもらう方が、時間もコストも短時間で済むかもしれません。海外事業をスタートするにあたって、従業員の意識を変えるためにも英語の研修は多くの企業で取り入れられているのです。

英語力を求めるのであれば、単純なスコアだけで判断するのではなく、どういった方向性の英語力が必要になるのか目的を絞るようにしてください。英語でどういったことをするのかによって学習するプランも変わってくるはずです。

まとめ

海外事業をおこなう場合、スピーディーな意思決定が求められるシーンもあります。海外からのメールや国際電話への対応が遅いことで、トラブルに発展してしまうケースもあります。海外進出を検討する際には、そのための人材確保も視野に入れて育成をスタートするようにしましょう。

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