日本は輸出国として知られています。日本企業は海外展開することによってグローバルな需要を取り込みながら成長してきました。海外展開による影響がどのように影響するのか考察しました。

海外進出が企業に与える影響

日本では、東日本大震災後以降に多くの企業が生産拠点を分散するようになりました。また、電力料金の上昇などを背景として海外進出が加速したとも指摘されています。日本企業が海外展開を進めることによって収益にも影響が見られます。

海外展開するメリットの一つは、自社の商品やサービスをグローバル化できることです。日本においてもTwitterやFacebook等の多くのアメリカ企業がサービスを提供しています。これらの企業はバラエティ豊かな製品を提供するのではなく、一つのサービスに注力しています。

一方で、日本国内で一つのサービスに限定して長期的に会社を成長させる企業はほとんどないでしょう。日本の会社は追われるよう次から次に新しいサービスをリリースしています。これは単純に一つのサービスだけの収益では会社を支えることができないことが要因です。

しかし、海外展開することで一つのサービスに注力して製品を提供できます。国内市場は縮小が進み、需要には限界があります。そこで海外展開によって一つの製品に集中することができれば、製品のクオリティを上昇させることも可能になるのです。

スタートアップ大国であるアメリカ企業も、ニッチなマーケットを狙って技術を集中させています。グローバル市場と国内市場との大きな違いはマーケットの規模です。最初からグローバル展開を考えている場合は、おのずとマーケット規模も大きくなります。

日本にすでにある大きなマーケットは、主に大企業によって過剰生産と競争が繰り返されています。値下げ競争が起きることで収益の確保も難しくなるでしょう。それよりも海外を舞台とすることが賢明である可能性もあります。

海外経済の影響を受けるリスクも

海外進出することによって、リスクを被る可能性もあります。たとえば海外経済が下振れするときや、海外需要が減少して輸出が減少してしまうこともあるでしょう。また、海外展開することによって多くのコストがかかります。

情報収集やマーケティングの段階でもコストがかかりますが、法人の設立費用や人件費も考える必要があります。これらの費用がかかっても海外進出が軌道に乗るかどうかはわかりません。最近では、メルカリなどでグローバル展開を目指して多額の損失を計上するケースもありました。

海外進出が失敗する原因の一つが人材の定着が難しい点です。海外ではひとつの会社に勤めあげるという考え方が少数派です。そのため労働市場は流動的で、雇用条件に不満があったり、より良い条件の企業から誘いがあったりすればすぐに離職されてしまいます。

海外展開する際には人材が離れてしまうリスクも考えて、十分な待遇やキャリアアップのチャンスを用意することも検討しましょう。

海外進出を成功させるためのポイント

海外進出を成功させるためのポイント
企業にとって、海外展開は事業体質や経営を大きく変化させるチャンスです。海外展開を成功させるために大切なのは、海外展開を国内事業の延長と考えないこと。日本市場とグローバル市場は、生活の慣習や文化、雇用形態などがまったく別物です。

とくに国内で成功している企業はその成功体験を捨てることができません。結果として今までの価値観に固執して海外展開で失敗するケースは珍しくありません。日本企業の拠点を海外にすると考えるのではなく、事業戦略などすべてを現地に合わせて作り替えることが必要です。

また、海外展開するということは、まったく未知の市場を新しく開拓することでもあります。市場調査の段階でもコストや手間がかかることもあるでしょう。海外展開するために現地パートナーを選定することも検討してください。

海外展開するためには現地でおこなわれる展示会への出店も有効な手段です。その国にはない技術やサービスに注目が集まるため、現地でのネットワークづくりに活用できます。また、現地の代理店などを利用する方法もあります。

M&Aで海外展開する戦略もあります。たとえば、日本たばこ産業はイギリスのタバコメーカーと2兆2500億円のM&Aを結びました。逆に海外投資ファンドがM&Aで日本国内の企業を買収する事例もあります。M&Aによって海外進出と海外マーケットの開拓をスピーディーに行えるのがメリットです。

まとめ

海外では、日本では考えられないような製品やサービスが成功することもあります。日本では当たり前のことが海外ではそうでないというケースもあるためです。海外向けの製品やサービスを開発することで国内事業も少なからず影響を受けます。そのほか、販路開拓や海外向けプロダクト開発なども、日本市場だけをターゲットとした事業とは根本的に変わるでしょう。グローバル化も念頭に置きながら、事業戦略を組み立てるようにしてください。

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hawaiiwater

X-HUB TOKYO
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