日本企業にとって海外市場の重要性は高まっています。しかし、海外進出を果たした企業のすべてが成功しているわけではありません。海外展開している企業の現状分析を紹介します。

中小企業の海外展開が加速

日本の人口が減少し、国内需要の先行きが危ぶまれています。そこで多くの企業が海外展開を目指すようになりました。この動きは大企業だけにとどまりません。とくに製造企業が多い中小企業は、海外展開をしないと競争を勝ち抜けない時代とも言われています。

これは安価で高い技術力を持った外資系企業の進出も原因です。外資系企業が日本でより安価な製品を提供した結果、多くの中小企業が経営環境に課題を突き付けられています。その一方で、経済発展が進むアジア市場は今後も有望なマーケットです。すでに独自の技術で日本において実績を積んだ企業も、新しい市場へチャレンジするチャンスが到来しています。

また、海外進出が増えた原因としてインターネットなどIT技術の向上も挙げられます。以前は海外法人を交えて会議をするのも一苦労でした。しかし、現在はテレビ電話やSkypeといったツールがあるため、販売先や提携先とのやり取りも簡単です。手軽にこれらのツールを利用できることも中小企業にとっては、有利に働いているのです。

新興国の中には、外資系企業を積極的に受け入れるため外資優遇制度を置いている国もあります。たとえばタイでは、主要原材料に対する輸入関税の軽減や法人税の一部免除、奨励されている業種から生じる利益および利益配当に対する法人税の免除などが受けられます。こういった外資優遇制度による節税効果も海外進出をするメリットです。

中小企業が抱える課題の現状と分析

中小企業が海外進出するための課題として、販売先の確保や資金の確保、現地アドバイザーの確保が挙げられています。独立行政法人 中小企業基盤整備機構が発表している平成 28 年度中小企業海外事業活動実態調査報告書では、輸出をおこなっている企業に対して直面している課題についての回答結果があります。

その結果、もっとも多い回答は「外国語や貿易事務棟ができる人材の確保」でした。次いで、「現地顧客の開拓」、「現地販売パートナーの開拓、関係強化」、「現地ニーズに対応した製品開発(機能・仕様、デザイン等)」と続きました。

実際に、「東南アジアや中近東から引き合いがあるもの、人材不足で対応できない」「語学は使えても自社製品の知識が無いと交渉は不可能なため語学スキルを向上させるようと取り組んでいる」などの声も挙がりました。

また現地顧客の確保については、新興国市場では外国資本が次々と参入することで大きな経済発展を遂げています。日本以外の先進国も積極的に海外進出しているため競争が激化する中で、どれだけの優位性を保てるかが将来の事業を分けることになります。

これらの課題をどのようにして解決できるかどうかが、海外進出を成功させるためのカギといえます。国内事業が低迷して、海外進出に活路を見出そうとする企業も少なくありません。しかし、足元の業績不安や将来への不透明性があると海外進出を成功させるのは困難です。公的支援や銀行融資などを通じて資金的な余剰を作ることも重要になるでしょう。

参考:独立行政法人 中小企業基盤整備機構
平成 28 年度中小企業海外事業活動実態調査報告書

海外展開を成功させる要因とは

海外展開を成功させる要因とは
平成 28 年度中小企業海外事業活動実態調査報告書では、海外拠点の設置を実現できた成功要因についてもアンケートを実施しています。その中でもっとも多い回答は「海外事業を推進する人材が獲得できたから」というものでした。また、次いで「現地従業員の確保、育成、管理ができたから」、「現地の顧客が開拓できたから」と回答されています。また輸出を実現できた理由としては「現地の顧客が開拓できた」という回答がもっとも多いという結果が出ています。

海外展開を成功させる分かれ道は人材の確保といえるでしょう。「海外事業を推進する人材が獲得できたから」という回答の具体的な例としては独自のコネクションで現地の優秀な学生をリクルートできた、現地で優秀な社員を雇用したという回答が挙げられています。

中小企業では慢性的な人手不足や資金調達不足で、グローバルな人材育成は困難かもしれません。そういった場合は、海外展開に精通したコンサルタントを探したり、現地で海外展開のための人材確保をしたりすることも検討しましょう。

まとめ

海外展開は国内とは文化や法律がまったく違います。また終身雇用が一般的な日本と違うため人材が流動的になりやすいでしょう。海外展開を成功させるためには、企業の現状分析をおこなって綿密に経営計画を準備、人材の確保をおこないましょう。海外展開をきっかけとして事業の拡大や売り上げ、利益向上を成功させる企業はたくさんあります。海外展開を目指す企業向けのサポートなども利用しましょう。

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hawaiiwater

X-HUB TOKYO
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