日本企業の海外進出は今後の生き残りのために大きな効果が期待されています。しかし海外進出のトレンドは時代とともに移り変わり、乗り遅れないように今後の動向を見極めることが必要です。

トレンドの推移を知ることで海外進出の将来を占う

日系企業の海外進出は、安価な労働力を求める製造業を中心として、盛んに行われてきました。また、経済連携協定などを元に、今後も日本の海外進出は増えていくでしょう。

しかしながら、海外進出によるメリットや効果は時代とともに変化しています。以前は安価な労働力を得るために進出した企業が、現地人件費の高騰のあおりを受けて撤退するケースも出てきました。

こうした状況の変化を知り、いち早く対応することで、海外進出を成功へと導くことができます。海外進出にはリスクも多いため、失敗しないために変化を見逃さないように注意しましょう。

世界情勢の変化とともに、海外進出のトレンドも推移しており、トレンドを見抜くことで世界の変化も理解できます。

これまでの海外進出トレンド

日本の海外進出が盛んになったのは、1990年代です。それまでもありましたが、ここを契機として日本企業の海外進出は年を追うごとに盛んになっていきました。

2008年のリーマンショックでは一時的に海外進出を控える企業が出ましたが、その後は順調に伸びをみせています。

これまでの海外進出のトレンドを牽引してきたのは、安価な労働力を求めて進出してきたメーカーです。TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への期待も海外での日本企業の事業展開を進める一端となっています。

また、日本国内の状況も、著しい円高進行や他の国よりも高い法人税と人件費など、国内で雇用を増やして生産を行うには厳しい状況でした。これらの原因が関係して、海外での生産が増え、海外進出する企業が多くなっていきました。

これまでの地域トレンドの推移

日本の海外進出で注目を浴びてきたのは、世界の工場とも呼ばれていた中国です。安価な労働力を求めて進出する日本企業は多く、今でも中国における日本企業の進出は多い状態が続いています。

また、他のアジアの国々へも積極的な進出が進められてきました。中国への進出が世界各国から注目を浴びるようになると、日本企業は新たにアジア各国への進出も視野に入れるようになりました。

ASEAN各国は、日本に友好的な国も多く、日本人や日本企業が受け入れられやすい素地があります。そのため、はじめての海外進出、世界進出への第一歩としても始めやすいのです。

その影響で中国以外のアジアも徐々に日本による海外進出が増えていきました。

欧米や南米への日本からの進出もあります。ヨーロッパ進出はEU市場の規模の拡大に合わせて魅力的な選択肢となってきています。

また、アメリカも巨大なマーケットとして進出による販路拡大が見込めます。

今の海外進出のトレンド


これまで日本企業の製造コスト削減のための海外進出のトレンドとして人気だった中国なども、人件費の上昇や諸外国からの注目と参入によってメリットの高い進出先とは言えなくなってきました。そのため、新しい進出先として他の東南アジアの国々などを開拓する動きがみられていました。

しかしアセアン諸国でも国策として教育が進み、ベトナムでのエンジニアの育成による人件費の高騰など、他のアジアの国でも苦戦を強いられるようになっています。その反面に中国をはじめとしたアジア各国は、GDPの上昇と活発な消費によって販路開拓の面で注目をされ始めました。

国内の消費に陰りを見せる日本においてもアジアのパワフルな市場は魅力です。アジアの巨大なマーケットは日本以外の各国も注目しているため、ライバルも多くなりますが、今後の海外展開を考える上では外せません。

また、アメリカやヨーロッパ、南米での日本企業の進出も増えてきています。欧米での日本企業の進出は、ブランド力で勝負する上で不利になることもありますが、巨大なマーケットであるアメリカは世界進出の足掛かりとして注目度が高い土地です。

メキシコなどの南米への進出でアメリカへの輸出を目指す企業もあります。

まとめ

海外進出をこれから考えようという企業にとっては、厳しい面も見えてきましたが、まだまだ参入余地は残されており、国内で縮小しつつある分野を取り扱う企業には海外進出を視野に入れた事業展開は避けられない道となっています。ただし、今後の海外進出を目指すなら、これまでのトレンドの傾向をみて、次の一手を探すことが必要となります。

今、すでにASEAN諸国では人件費の高騰が始まっている国もあり、これから参入を考える場合でもいずれ人件費の上昇はどの国でも起こり得るものだと認識しておくことが大切です。それを加味してメリットを得られるかどうかを探る必要があります。

また、活発な市場を求めて海外進出を考える場合にも、日本での既存商品がそのまま受け入れられないこともあるため、十分なリサーチとローカライズなどの対策が必要となるでしょう。それが可能な人材を海外進出のプロジェクトに据えることや、有益な情報やサポートを得られるコンサルタント会社や人材プラットフォーム事業などの利用を考えることも必要です。

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hawaiiwater

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