スタートアップがシリコンバレーに進出することには、どのようなメリットがあるのでしょう。シリコンバレーはハイテク産業、とくにIT系巨大企業の拠点やベンチャー企業が集中する経済地区として、世界的に知られているエリアです。

数多くのスタートアップが輩出され、「スタートアップの聖地」とも呼ばれるシリコンバレーには、大企業や大学などが多く存在し、優秀な人材も集まっています。その成功をサポートする独自のエコシステムが形成されているシリコンバレーについて、メリットやデメリットを紹介していきます。

イノベーションを生み続ける「シリコンバレーの特徴」

シリコンバレーは、世界有数のハイテク企業が集まる地区です。多くのスタートアップを輩出するエコシステムとともに、「スタートアップの聖地」として広く知られています。産業・経済が集約したシリコンバレーの特徴を見ていきましょう。

シリコンバレーとは

シリコンバレーは、アメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコ沿岸の南部エリアを指す言葉です。もともと半導体製造で有名だったことから「シリコン」、そして「サンタクララバレー」の地名から「バレー」をとり、現在の「シリコンバレー」と呼ばれるようになりました。

主要都市には、サンノゼ・パロアルト・メロンパーク・クパチーノなどがあります。高度なIT人材が集まるシリコンバレーは、海外進出を目指す企業の進出先として常に注目を集めています。

シリコンバレーのハイテク産業

シリコンバレーには、大都市サンノゼを中心とする各都市に半導体やコンピューター、ソフトウェアなどのハイテク企業が集まっています。Apple・Meta Platforms・Googleなどの巨大企業をはじめ、何千ものスタートアップやベンチャー企業が存在し、世界最大の「ハイテク産業の集積地」となっています。

シリコンバレーの概要

1930年代のシリコンバレーは、カリフォルニアの穏やかな気候を活かした果樹園が並ぶエリアでした。それを「シリコンバレーの父」と呼ばれるフレデリック・エモンス・ターマンがシリコンバレーの情報技術促進に貢献し、現在の発展に繋げたとされています。

シリコンバレーの発展は、スタンフォード大学が大きく関係しています。スタンフォード大学の電気工学の教授であったターマンは、第二次次世界大戦中にアメリカ政府の要請により、ハーバード大学の無線研究所へと招かれます。

戦後スタンフォード大学に戻ったターマンは、有名大学に比べ極端に研究費用が少ないと気づいた経験から、スタンフォード大学の地位を高めることを目指しました。また卒業後に都市部へと流出してしまう優秀な学生に対して、大学の周辺での研究・起業を奨励していきます。

さらに大学の広大な土地を利用し、企業に設備やオフィスを貸し出すという、先端企業へ向けた誘致を行いました。地域と大学との連携を強め、周辺企業への技術支援やスタートアップの育成に励むことで、半導体メーカーなど新技術の企業が徐々に集まるようになり、現在のシリコンバレーが形成されました。

シリコンバレーにスタートアップが集まる「理由・メリット」

シリコンバレー進出には、様々なメリットがあります。スタートアップ企業を支えるエコシステムや起業家同士のネットワーク、イノベーションを生み出す環境など、メリットを活かした起業が目指せるでしょう。

IT関連の大企業が次々と創業・成長を続けるシリコンバレーには、その将来性の高さから近年では日系企業の進出も増加しています。

スタートアップ・ベンチャー企業を支えるエコシステム

シリコンバレーは、半導体メーカーが一斉に集まったことから地域が発展してきました。多くの企業が成長し市場が活性化するにつれ、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家も集まり、起業家の資金調達を支援する体制が構築されました。

ベンチャー企業に対するサポートを、世界的な大企業や大学・研究機関が行っているという地域性はスタートアップ進出の大きなメリットです。大企業の拠点・研究施設などが多く存在することから、政府やサポート機関からの出資・起業しやすい環境の提供など、必要な支援が受けられるでしょう。

さらに、法律関連や税制面など法的なコンテンツをサポートしてくれるサービスプロバイダーがいることも、海外でビジネスを始める上では非常に重要なポイントです。(シリコンバレーのSUエコシステムの最新トレンドはこちらから)

世界最大級のスタートアップ同士のネットワーク

高度な技術や優秀な技術者がシリコンバレーに集まっていることもスタートアップの創業を後押ししています。IT系の大企業が集中していることにより、優秀な人材・起業家・創業者・投資家などの交流も活発に行われ、新しい人脈を作りやすいというメリットがあります。

起業家を目指す人々が、同じ起業家同士のネットワークを構築することで様々なアイデアが生まれやすくなり、スタートアップの成功も期待できるでしょう。

イノベーションを起こす意欲と生まれる環境

多くのスタートアップ企業を輩出してきたシリコンバレーには、失敗を恐れず次々とチャレンジしていくことを尊重する考え方が根づいています。

加えて大企業や大学が揃っているため、世界中から多様な文化・背景を持つ人材が集まってきます。そのような背景の異なる人材が集まることにより、自然と多角的な視点や考える力が養われます。

優秀な人材が集まるシリコンバレーは、その多様性から外国人の暮らしやすい環境が整っているため、海外からの参入も受け入れられやすく、新しい視点のイノベーションが生まれやすくなっています。

シリコンバレー進出の「デメリット」

シリコンバレーへの進出には、デメリットもあります。生活コストがかかる、人材が安定しないなどのデメリットがあるため、スタートアップ企業の経営が安定するまでにどの程度の費用が必要になるかをよく確認し、計画を立てなければなりません。

生活コストの高さ

現在ではカリフォルニア州の人口増加の影響を受けて、シリコンバレーは賃貸住宅の家賃、売買住宅どちらでも不動産の価格が世界トップ水準のエリアになっています。生活用品や食品などを購入する費用も日本の2~3倍はかかるため、起業家自身はもちろん、社員が生活できるレベルの給与を支払うためにかなりのコストが発生するリスクがあります。

また、創業間もないスタートアップ企業や中小のベンチャー企業などは、大企業と比べて少しでもコストを抑えなければならないため、優秀な人材を獲得することが容易ではありません。

人材の流動性

シリコンバレーには、人材の流動性が高いという特徴があります。優秀な人材には他企業からの引き抜きがかかるケースも多く、企業は優秀な人材を採用・雇用の継続をするために高額な給与を払わなければなりません。

スタートアップの場合でも、大規模な企業に優秀な人材が集まりやすいところがデメリットとなります。

まとめ

シリコンバレーは、世界的なハイテク・イノベーション企業が集まる経済地区として有名なエリアです。巨大企業や大学、研究機関などのサポートがあり、エンジェル投資家による資金調達が可能な完成度の高いエコシステムにより、多くのスタートアップ進出が成功しています。

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