アメリカのトランプ大統領が就任したニュースは世界から驚きで迎えられました。しかし、それ以上に法人税の減税に驚いた人も多いのではないでしょうか。アメリカの法人税にまつわる戦略や海外進出先を選ぶときの注意点をまとめました。

アメリカの州制度による違い

アメリカは州制度を取った国です。アメリカは50の州とワシントンD.C.で構成されています。開拓民が自ら制定した法律や規律で国づくりをしていった歴史的背景から、土地が区分けされ州制度につながりました。

もともとは東海岸一帯の13の州から始まり、現在でも50州それぞれで州の法律が適用されます。日本では地方自治体の条例もあるものの基本的には全国一律の法律が適用になるため、州法はイメージしにくいかもしれません。

アメリカでは税制度も州によって違います。たとえば日本でいう消費税、小売売上税(Sales Tax)という税金も一律税率ではありません。アメリカで最も税率が高い州がルイジアナ州の10%、逆に低い税率の州がオレゴン州・モンタナ州・デラウェア州の0%です。全く同じ金額の商品を購入したとしても州によっては税金がかかってしまうなど、税金の違いは生活に直結するので、事前に調べておくようにおすすめします。

アメリカの法人税制度

アメリカでは法人税は連邦、州レベルでそれぞれ課税になります。一般的にアメリカで事業をおこなうのであれば現地で会社設立となります。現地法人には一般のアメリカ企業同様に納税義務が生じ、税金には、連邦法人税と州、地方自治体の3つに分けられます。

連邦法人税

連邦法人税は2018年1月1日より一律21%です。アメリカの連邦法、州法に基づいて会社設立された内国法人に対しては法人段階の利益と、留保利益の株主配当のそれぞれの段階で課税となります。アメリカの法律によらずに会社設立された外国法人については、日米租税条約により、米国内の「恒久的施設(支店、事務所、工場、作業所、倉庫など)」に帰属しないものについては非課税です。また利子、配当、ロイヤルティーといった投資収入総額に、30%の税率が適用されますが、租税条約により軽減を受けることができます。

州法人税

州の法人税は州ごとに違います。高い法人税の州や、地方自治体もありますが、逆にテキサス州やネバダ州、ワシントン州のように州法人所得税の存在しないこともあります。ただし、州法人税がかからなくても売上税や固定資産税、あるいはその両方が高いケースがあるので注意が必要です。

アメリカの法人税減税の背景とは

2017年12月、大幅な法人税減税を含む税制改革法案が成立しました。これを推進したのはトランプ大統領。トランプ大統領は、この税制改革案はアメリカ史上最大の減税となり、アメリカ市民にとって歴史的な減税となるとコメントしています。

この税制改革の具体的な内容は、法人税は35%から21%への引き下げ、個人の所得税の最高税率が39.6%から37%への引き下げです。法人税の引き下げを受けてアメリカの大手企業では、設備投資や賃上げに向けて動き出したことが話題となりました。

もともとアメリカの法人税率35%は世界でトップの高さの法人税でした。しかし、この減税によって法人税率トップはフランスの32.02%になりました。また世界6位の日本29.74%もアメリカよりも高い税率になっています。
参考:グローバルノート『世界の法人税率(法定実効税率) 国別ランキング・推移』

アメリカの減税を受けて、将来的に減税をする方針の国も増加しています。またアジア諸国は日本や韓国などを除いて、一般的に法人税が低い傾向にあります。法人税率を引き下げて海外企業の会社設立を呼び込む戦略をとる国がある一方で、外資優遇制度などで誘致を進める国もあり、国ごとに戦略が分かれます。

アメリカの法人税で注意しておきたいこと

アメリカの法人税で注意しておきたいこと
アメリカでは州法人税が導入されているため、複数の州でビジネスをおこなっている場合、それぞれの州に合わせて税を申告しなければいけません。また税率も一定ではなく、更新されていく税率を気にし続ける必要があります。

たとえば2019年10月時点で州法人税が高いのは、カリフォルニア州の8.8%やペンシルベニア州の10.0%、イリノイ州の9.5%です。またミネソタ州も9.8%の法人税です。さらにアメリカで勤務する従業員は連邦と従業員が勤務する州に対して所得税を支払うことになります。加えて郡・市・地方団体に支払いが必要なこともあります。

アメリカでは税務申告のフォームも多く、事務作業も煩雑になります。海外進出したばかりで売り上げが発生していないという場合も申告の義務はあるため、注意しましょう。

まとめ

日本と比較するとアメリカの税金の仕組みは複雑です。アメリカで納税義務がある税金を知らないとトラブルに発展してしまうこともあります。申告漏れや納税を遅延してしまうとペナルティなど不利益を被る可能性もあるでしょう。また州によって全く法律が違うため駐在として働く人の環境にも気を配る必要があります。アメリカ進出の際は税務に長けたパートナーやスペシャリストの手を借りることも検討してください。

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