PROFILE田代 純子(たしろ じゅんこ)
東京都産業労働局商工部創業支援課長
2015年度より現職に就任。創業助成事業や「ASAC」の立ち上げ、2016年に開設した東京の起業・スタートアップ支援総合サイトである「東京都創業NET」の立ち上げなどを行う。2017年には丸の内に開設した「STARTUP HUB TOKYO」の企画立案を牽引。

東京都担当者に聞く、
X-HUB TOKYO立ち上げの狙いと
参加者に伝えたいこと

スタートアップ支援プログラム「X-HUB TOKYO~GLOBAL STARTUP ACCELERATOR~」(以下、「X-HUB」)これは、東京発スタートアップの海外進出をさらに加速するべく、今年、東京都が立ち上げたアクセラレーションプログラムだ。
今回、2015年度より東京都産業労働局商工部創業支援課長として、東京都の創業支援施策に携わっている田代純子氏に、X-HUB立ち上げの経緯とその目的を聞いた。


スタートアップの海外進出を支援

東京都のスタートアップ支援への取り組みや、X-HUB立ち上げに至った経緯を教えてください。
都として長らく起業創業支援自体は実施していましたが、大きな転換点となったのは、2014年に、10年後である「2024年に都内の開業率10%台を目指す」と定めたことです。当時が4.8%ほどでしたので、倍にしようと。またこの10%台というのは、英米のそれと並ぶという意味もあります。以来、より積極的に創業支援の施策を実施してきました。その環境作りのひとつとして、今回のプログラムを立ち上げました。
X-HUBのプログラムには「イベント」と「X-HUBプログラム」のふたつがあります。それぞれのどのような内容でしょうか?
前提として、世界へ出て海外で活躍しようとするスタートアップ自体がまだまだ少なく、前例も少ないため、海外進出をしようとしても一体どうすればよいか分かりません。また、海外から見ても日本にどんなスタートアップがあるのか、まだ十分認知されていません。これらの課題を解決するのが、X-HUBの提供するイベント、X-HUBプログラムです。

すでに海外進出に向けて準備をしたいというスタートアップ向けプログラムである三ヶ月の「X-HUBプログラム」では、海外のパートナー企業や海外の投資家と直接繋がれるように、必要なスキルも磨いた上で、確度の高いマッチングを行います。「イベント」はこれから海外進出を目指したり、まずは情報を収集したりしたいという方向けの、より間口が広いものです。こちらを通して「X-HUBプログラム」参加者の掘り起こしや、機運の盛り上げにつなげたいと考えています。
「X-HUBプログラム」については、海外のVCやアクセラレーターの方に来日いただいて、現地マーケットの話や現地の資金調達事情などについてお話を行いながら、マッチングを行います。
初回は世界最大級のインキュベーション施設と言われているボストンの「ケンブリッジイノベーションセンター」の運営母体である「グローバルベンチャーカフェインスティチュート」の方にお越しいただきます。この回はアメリカ東海岸への進出に向けたコースですが、今後も様々な国・地域を対象として、その国・地域の方をお招きし、プログラムを組む予定です。


コーディネーターによるアドバイスや、
参加者同士の情報共有も

このプログラムの強みはなんでしょうか。
スタートアップとパートナー企業、投資家の繋がりを促すため、マッチングコーディネーターと呼ばれる担当者がマッチング前のブラッシュアップ、当日のマッチングをサポートします。マッチングコーディネーターは、参加スタートアップと海外のパートナー企業や投資家との間を取り持ち、参加スタートアップに対してアドバイスやサポートをする役割を担います。
また、参加者同士の交流も活性化させていきます。海外進出を目指すスタートアップは直面する課題が似てくることが多いです。各々が持っている課題や情報がシェアでき、相互に協力できるような環境を整えていきたいと考えています。
参加する方の世代はどのように想定されていますか?
これまで実施してきた東京都のイベントでは、20代後半から40代前半まで、幅広い方々が参加してくださりましたが、おおよそその世代の方々がいらっしゃるのだろうと思っています。このプログラムでは、海外進出を見据えてさえいれば年齢は不問です。もっと若い、大学生や高校生でも意欲さえあれば大歓迎です。
最後に、参加する方に期待することを教えてください。
東京都の創業支援全体として、今までにないようなビジネスモデルで社会を変えよう、生活を変えようとチャレンジをしている方をサポートするために様々なプログラムを展開してきました。このX-HUBでは、より大きなインパクトで社会を変え、海外に進出し、日本の社会を引っ張ってくださるような方に集まっていただきたいです。
数年後の世の中をさらに良くするような、志を持った方のチャレンジをお待ちしています。